3. 4自由度振動系のシミュレーション
公開日: 2015/04/26 基礎編
図 3.1 4自由度振動系モデル |
図3.1の4自由度ばねますモデルをscilab-xcosで作成し、時系列のシミュレーションを行う。
ここでは図3.1をハーフカーモデルとして、ばね上のピッチ特性を把握してみようと思う。
便宜的に入力点 z f と z r を路面、m1 f と m1 r をばね下、m 2 をばね上と呼ぶことにする。
1自由度振動系のシミュレーションと同じように、路面 z f と z r から上下方向の強制加振を行い、ばね上とばね下の周波数応答を、scilabとxcosを用いてシミュレーションをする。
シミュレーション結果をみてみる
シミュレーションの結果を3Dモデルに与えると、アニメーションのような応答を観察することができる。
シミュレーションの詳細については後述する。
アニメーションの中盤でばね上の揺れが大きくなっていて、ピッチ運動に対しても、固有値を持っていることがわかる。
最後の方はフレームレートが追いついていなくて、残念ながらばね下の動きは正確に再現できなかった。
固有値は1.23Hz付近であることがわかった。
また、周波数が上がるにつれ、ばね上のピッチ角がゼロに近づくことがわかる。
図 3.2 ピッチ角変化グラフ |
パラメータについて
シミュレーションはTOYOTA 86に似た車両を想定した。公開されていないパラメータは、適当な値を用いているので、正確なシミュレーションとは言えないが、それほど的外れなものでもないと思う。
各パラメータ (xcosのコンテキスト設定) は、図3.3とした。
図 3.3 パラメータ (xcosコンテキスト設定) |
前後の軸重とアームのレバー比はHKSのサイトの値を使用した(2)。
ばねレートはVorshlag Motorsport Forumというサイトの、Scion FR-S (米国版86) の測定値を使用した(3)。
フロントとリアのショックアブソーバの減衰係数 c f と c r はみつからなかったので、減衰比ζ を一般的な0.4となるように調整した(4)。
フロントとリアのホイールレート k f と k r 、減衰比 c f とc r の計算を式3.1に示す(5)。
入力について
入力は±0.024mの強制加振を、前後の路面から逆位相で加えた。
周波数は乗り心地として感じやすい、0.2〜20Hzに徐々に変化をさせる。
運動方程式とブロック線図
図3.1の4自由度モデルの運動方程式は式3.2として、記述することができる(6)。
式3.2をsilab-xcosでブロック線図にすると、図3.3になると思う。
図 3.3 xcosブロック線図 |
ブロック線図のwrite to output fileで出力されるcsvデータをblenderに入力すると、冒頭のアニメーションを作成することができる。
サスペンション関連の論文を調べてみると、フルビークルモデルは7自由度の運動方程式で定義できるようなので、時間があれば試してみたい。
◆参考文献
(1)Wikipedia、フリー百科事典、トヨタ・86
(2)HKS 86 ZN6 MAX IV SP
(3)Vorshlag Motorsports Forum
(4)貴島ゼミナール、チューニングを楽しむための動的感性工学概論 §10
(5)自動車のサスペンション、カヤバ工業、pp.51
(6)岡本文太、吉田和夫、自動車用セミアクティブサスペンションの外乱包含双線形最適制御、日本機会学会論文集 C編、Vol.66、No.650 (2000)、pp.3298
◆使用アプリケーションおよびモデル
simulation: scilab 5.3.3
model: sketchup 2014
(vehicle model: mandun)
export obj (plugin): obj_in-out (Akitenh) rendering: blender 2.57
csv import: phyton 2.7.7, csv f-curve importer v7.0 alpha1
csv import: phyton 2.7.7, csv f-curve importer v7.0 alpha1